ヒトの脳がアウトプットの選択肢を持ち、経験によって学習するためには、コンピュータのプログラムのような一方通行の回路ではなく、信号を枝分かれさせて、一部を上流に戻す回路(フィードバック回路)が必要です。
ひとつの神経細胞は1万の神経細胞に信号を送ります。これを3回続けると1兆個の神経細胞が信号を受け取る計算になります。でも、ヒトの脳には140億しか神経細胞がありません。つまり3回目には自分が発信した信号がほぼ自分に戻ってくるということ。
ところで、脳が例えば言葉を聞いてから理解するまで普通0.3秒かかります。神経細胞が次の神経細胞に信号を渡すのには0.001秒かかる。脳はわずか数百ステップでこんなにも複雑な思考をやってしまっていることになります。
わずか数百ステップの情報処理作業を調べ上げることで「意識」の全貌がわかるかもしれないという話です。
次回、クライマックス。
ー「進化し過ぎた脳」池谷裕二
ghost writer