好きなときにボタンを押すんだから、これは明らかに自由意識でしょ?だから、普通に考えると「ボタンを押そう」という意識があらわれて、それから手が動いて「ボタンを押す」という行動になると予想できるよね。研究者のだれもが実際にそう思ったの。ところが、答えは違ったんだ。「好きなときにボタンを押す」という、もっとも単純な行動が、なんと自由意思じゃなかった。
脳波をモニターしながら脳の活動を調べると、答えは先に「運動前野」という運動をプログラムするところが動き始めて、それからなんと1秒ほども経ってから「動かそう」という意識があらわれたんだ。
「動かそうと決めた」という意識が、無意識が「手を動かす」と決定したあとに形成されたということ。
「行動を決めているワタシの意識」は錯覚であり、決定済みのリアクションと、副産物である自由意思の幻想があるだけ、ということです。
リアクションが構造的に意識による支配を受けないとすれば、我々が達成すべき、行為とエゴイズムの乖離や、リアクションの根絶とは、それらの形成プロセスの正解な把握ということになります。
ー「進化し過ぎた脳」池谷裕二
ghost writer